紫真殿 教学寺納骨堂

教学寺は紫雲山と号し、浄土真宗本願寺派を宗旨とする寺院である。
計画は、既存の第1納骨堂の隣地に、第2納骨堂及び庫裡を建築するものであり、1階にそれぞれの入口、納骨堂におけるホール、法要室を設け、3・4階が納骨堂である。
外観は、旧来の納骨堂のイメージではなく、箱型で極めてシンプルな形態として、なお納骨堂としての存在感を持つことが求められた。
正面に深い庇を設け、両袖をコンクリート打ち放しの壁、リン酸塩皮膜処理を施したスチールの梁と列柱によって構成し、礼拝の場への非日常の入口であると同時に、桧の板壁等 人を優しく迎える構えとなるよう意図した。
内部は、道路よりホール、納骨壇へと至る空間の流れが、人を外の世界より、故人を偲ぶ場へと次第に導くものであるよう注力した。
納骨堂は、列柱状の通路の西正面に須弥壇を設け、故人の遺骨を納める空間として、格調高く真の安らぎの場所となるように願った。

RC4階建ての建築内の1階一部、及び2階に設けた住宅である。道路に面した本館のエントランスに対して、玄関を道路奥とする等、外部に対して控えた存在であるよう望まれた。
2階は、階段吹抜けを回廊状に各室が囲む形式とし、外部に面した家事室から、吹抜けを介して、回廊及び1階玄関ホールに光を満たしている。
高天井とした南側ダイニング、キッチン等、外観の外部に対して閉じた印象とは異なり、明るく開放的な住まいとなっている。

原設計は「アトリエ美山」伊勢博臣氏(2011年逝去)、築30年の住宅の改装である。
基本的な平面、空間構成は原設計のままとし、白一色であった壁・天井の仕上げを淡い土色の左官仕上げとし、家具を一新、追加造作する等、ボールト天井と間接照明の光が特徴的な原設計の構成をより生かしつつ、淡い陰影による新たな魅力を持った空間となるよう注力した。

敷地は別府市中心部、西側は新設された大通りに面し、周辺は新旧の建物が混在するもののかつての面影も残す環境である。クライアントは、リモートでの仕事が可能なこともあり、温泉と海と山の自然に恵まれた別府での暮らしを選択してのUターンであった。

昭和初期に建てられ、増改築を重ねた母屋のうち、座敷二間及びその前の庭木を撤去しての計画である。
交通量の多い道路からの騒音とプライバシーを守りつつ、既存母屋と適度に向き合うよう、仕事部屋と住宅棟をL型に配した。広いデッキにはパーゴラを設け、それらを囲むようにふんだんに植栽を施し、敷地内にさらに新たなコートハウス的な構成となるよう図った。住宅棟、仕事部屋、パーゴラが、適度な間合いと密度を保つことによって、様々に移りゆく自然を感じる心地良い暮らしの場をイメージした。
また両親の住む母屋との関係を考慮しつつ、可能な限り建築前の趣を残すよう配慮し、新しくも懐かしい空間を保っている。

住宅棟は、仕事部屋の片流れの屋根と一続きとし、南庭側を1.5階分の天井高さのLDK、北側を水回り、階段、個室とした。各空間は庭との繋がりを活かしつつ、吹抜・格子・トップライトの光を介して親密で柔らかな関係となるよう意図した。
仕事部屋、住宅棟とも、内部は漆喰と木質、外部はシラス壁仕上げとし、その場に応じたナチュラルで優しい空間となっている。