今宿の家

敷地は、今様で同趣な住宅が並ぶ新興の分譲住宅地。北入りであるため、2台分の駐車スペースを確保すると、建物は南隣地いっぱいに寄ることとなり、十分な日照、採光を確保することが難しい。幸い、南隣地は高くなっているものの平屋で、東隣地は既に南西角に庭を設けてあったため、設計に際しては、南東角に庭を設け、それを囲むようにリビング、ダイニングを配した。東隣地庭とオープンスペース、緑を共有することによって、明るい日がそそぎ、爽やかな風がとおり抜ける静かで心地よい居住環境を得ることができた。

リビング、キッチン、ダイニング、テラスを田の字に配し、リビング吹き抜けを介して2階各部屋と繋がり、階段上には机、本棚を備えた家族共有のスタディーコーナーを設けている。このひとまとまりの空間は、それぞれの居場所を確保しながら、繋がり方の違いによって生活の多様なシーンに対応できるよう図っている。

和室は、壁・天井・ふすまを同一の和紙の貼り回しとして、「かまくら」のような柔らかな光に優しく包まれた空間となっている。

外観は、1階を杉羽目板貼に押縁留め、2階をリシン吹き付け、軒裏を化粧垂木として、同系のグレー色で仕上げている。やや均質な印象の街並みに対して、板塀・植栽と相まってシンプルでありながらシックで親しみのある表情となるよう意図した。

敷地は北東に景色が広がり、遥かに関門海峡を望むことも出来る緑多い丘陵の住宅地。
多忙な夫婦2人のための小住宅である。

プランニングにおいては、開放的なリビング・ダイニング、それに接する趣味室、離れた印象の茶室、寝室と、その性格に応じた外部との繋がりに特に配慮している。

リビング・ダイニングは、北面することによって、安定した順光で景色を眺めることが出来るとともに、柔らかな木質、漆喰と相まって穏やかで落ち着いた空間となっている。
パノラマ状に景色を枠取る出窓は、腰掛けての快適な窓辺の空間としても生きるよう寸法、ディテールに細心の注意を払った。

LDKと入れ子状に接する趣味室は、格子で仕切った半独立空間。
3m×2.5mのL型の机を設け、2人は趣味、仕事と思い思いに時を過ごすことが出来る。

南側道路は西に向かっての上り勾配となっており、敷地西側は前面道路より約1m下がり窪んだ印象である。茶室及び前庭をその敷地南西角に配して、周囲より隔たった閑やかな趣となるよう図った。

茶室は、客座の天井を竹の詰め打ちとし韓紙を載せた。その隙間から洩れる光と翳りが僅かに交錯する。他をシンプルで抑制した意匠とすることで、柔らかな陰影と自然を親密に感じることができる空間となるよう意図した。

敷地は市中より僅かに離れた未だ田畑も残る住宅地、緩やかな南斜面にある。
やや散漫な環境にあるため、内部と周囲との間合い・繋がりを、塗り仕上げ・木ルーバー等数種の塀と植栽による中間領域の在り様によって調整している。
2つの矩形の平面に、低く軒深い寄棟屋根が載る外観は、穏やかな表情の中にも緊張感のあるバランスを保つよう各部のスケールに注意を払った。
構成は、プライベートゾーンとパブリックゾーンを明確に分け、玄関より1直線に抜ける動線が 各スペースを有機的に繋いでいる。
内部は、周辺の景色を採り入れつつ、木と漆喰の柔らかな質感を生かし、プライバシーの守られた落ち着きのある住空間となっている。片流れの高い天井と、細身の化粧梁天井、時に応じた建具の使い方等、変化と統一感のある伸びやかな空間となるよう意図した。
リビングと繋がる撞球場は、床を300㎜下げて高い天井に床を石張りとし、友人を迎え楽しむ親しくパブリックな設えとしている。

福岡市中心部の住宅地、幹線道路より僅かに入ったひし形の変形狭小敷地。南は賃貸アパート、西側は隣地擁壁、北はマンションと3方を間近に囲われてはいるものの、東側は空き地となっており、隣家越しに緑も散見できる明るく静かな環境である。

2階は、低く抑えた片流れ屋根の木構造を内部に表し、景色が望める南東方向以外は柔らかく閉じることで、落ち着きのある、快適で寛いだ空間となるよう意図した。正方形平面中心の柱を軸に、階段・ダイニング・キッチン・リビングを風車状に配し、一空間の広がりを感じながらもそれぞれに相応しい居場所を設えている。

1階に配したエントランス、寝室、和室、水回りは適宜に設けた開口より、光と風、緑を採り入れ、プライバシーを守りつつ、自然を感じる穏やかな空間となっている。

変形の敷地を生かし、僅かながらも植栽を配して前庭、アプローチを設けた。外壁は濃いグレイッシュな左官仕上げに緑が映える。煩雑な環境に親しみのある印象の佇まいとなるよう配慮した。