藤崎の家
古くからの住宅地、南東をS字にくねった道路に面する、やや変形の敷地である。
クライアントの要望は、雨の日でも使える深い庇のあるテラスと、リビングと繋がり家族皆で使える図書室が欲しいということであった。
リビング、キッチン、ダイニング、テラスを田の字に配し、リビングに接する図書室は格子で仕切った半独立空間である。またそれらの部屋は階段、吹き抜けを介して2階個室とも繋がる。
この家は、ひとまとまりの空間の中に、それぞれの場の繋がり方の僅かな違いにより多様なシーンが生まれる。
テラスはダイニングと同じ屋根の下にあるカバードデッキとした。時に応じた暮らしに欠かせぬ場となっている。
敷地は市中にありながらも、その喧騒から離れた東向きのやや小高い丘。眼下に桜並木の道路を挟んで池、鬱蒼とした緑地を望む恵まれた環境にある。
クライアントの要望は、「住まいの核のイメージは、例えて言えば寮のホール。そこは寮生(家族)が自室を出て、本を読んだり、勉強をしたり、話ができたりと、気ままに過ごせるようなスペース。傍らに沢山の本に囲われたライブラリーがあり・・・。また敷地の利を生かし、ときに自然と一体となるような暮らしができればいい・・・。」といったことであった。
リビングは豆型の大きな机を置いた吹き抜けのホール。そこから300㎜下がって暖炉のある小さな隠れ場所のようなヌック。2100㎜上がってライブラリーである。これらのスペースとキッチンダイニング、デッキ、子供室は2つの階段を介して、メビウスの輪のようにぐるりと繋がる。子供達は自由に走りまわり、自分の居場所を見つけては思い思いの時を過ごす。
この家には、行き止まり無くどこにいてもどこかの空間、環境と繋がる居心地のいい様々な場所が設えてある。