三苫の家
「 屈折しながら繋がる穏やかな「場」 」
クライアントは、生活の中に緑や光といった自然を感じていたい、2世帯は僅かに気配を感じながらもある程度の距離を保ちたい、といったことを望まれた。
敷地は間口9.5m×奥行34mの東西に細く長い短冊形のいわゆる「うなぎのねどこ」。間口方向には自由度を制約されながらも、圧倒的な奥行きは平面的な距離であると同時に、人の動き、日々四季折々といった時間軸における空間の移ろいでもある。
アプローチ、玄関、廊下、居間、食堂と屈折しながら流れるように繋がる空間は、適度な閉鎖性と開放性をくり返し、それぞれの場を穏やかに設える。一方食堂より母の寝室への軸線は、敷地の東端より西端さらに通りへと一直線に見通すことができる。
内部と外部は櫛状に入れ違い、相互に貫通する。静かで簡素な中にも変化と伸びやかな空間は、当初望まれたように常に刻々と移りゆく自然や時間と共にある。
銀の波板に覆われた外観は、自然の動きに呼応し、表情を展開するものでありたかった。幾つかのボリュームを直線上につなげた構成は、家族を乗せた船を連想する。
「 You’d be so nice 」
幹線道路に面した住宅地。先細りの三角形の敷地である。
クライアントは新たな生活のための住宅建築にあたり、相手に気兼ねの要らない自分の場所(夫はそれまでの職歴を生かしたオフィス、夫人は狭いながらも蒔絵の工房)を持つことが夢であった。
事務所、工房、居間は土間、縁を挟み、敷地の形に従い雁行しながら奥へと進み庭へ広がる。2人はそれぞれ自由な違った場所にいても光や緑といった自然を介し、一方の気配を感じながら思い思いの時を過ごすことができる。