マルハステーション 改装前写真

「 広がる景色を切り取り、引き入れる 」

敷地は鴻巣山南斜面。濃い緑を背に南西に広がる市街地と油山の山並みを一望する自然と眺望に恵まれた住宅地である。博多湾からの海風は一旦山の緑に浄化され、季節を通して爽やかな空気を運ぶ。敷地より眺める山の端、空の色・・は朝、夕に美しく表情を変える。

この家は、2階をプライベートなスペース、1階は客を迎え、時には作品の展示の場としても使える空間として計画された。キュービックで銀色の外観は、周囲とは際だち自立する。しかし、深い緑を背景に、刻々と変化する光や緑といった自然を微妙に映し、穏やかに表情を展開する。

内部は窓の位置や大きさによって、それぞれに趣の異なる自然や景色が日々の生活の中、目に入るよう図った。特に1Fリビングは限りなく広がる景色を切り取り、引き入れる。快適な居住性を保ちながら内部と外部は一体になる。

茶事にも使える和室には、壁、天井、障子全てにネパール紙が張りまわされ、柔らかく包まれるような空間に仕上っている。

この家は四季折々の草花、控えめに置かれた小物、夫人の作品そしてなによりご夫婦の生活そのものに、生き生きと息づいている。主人が当初求められた自らの生活の場を通してデザインの意味を表現し、訪れる人々を楽しませたいという思いはかないつつあるようである。

ランドスケープのデザインをしている友人のための住宅です。
子供もまだ小さくお金もあまりありません。高いコストをかけたり、特別な工法や材料を使わなくとも快適で機能的な家を造ることは可能です。
居間食堂はプライバシー、通風、採光、眺望を確保するため2階に上げられ、時と好みにより自由な使われ方を可能としています。将来の間仕切り、増改築も考慮されています。

この建物は日本がまだまだ貧しくとも映画が全盛だった昭和27年ころ、木造の兵舎や倉庫を解体し得られた材料により、映画館として建てられたものだそうである。その後映画の斜陽とともに閉館し、数度の改装の結果4層に仕切られ、1、2階をブティック、3階を自社の事務所、4階を倉庫として使っていた。しかし、天井は低く2階は店舗としての魅力に乏しかった。

そこで今回、4階のすべてと3階の床の大半を取り払い、かつての構造のままの天井を露わにした大空間のブティックを作り出し、さらに単なるファッションフロアとしてではなく、さまざまな目的に対応できる空間として企画された。