《2006年6月》 木造2階建(木質二方向ラーメン構造)
敷地面積:6938.92㎡ 延床面積:1325.74㎡ 建築面積: 924.86㎡
施工 株式会社 竹中工務店
写真 Blitz studio
【 第20回 福岡県美しいまちづくり建築賞 優秀賞 】
【 日本建築家協会優秀建築選 2008 】
【 第2回 建築九州賞 JIA特別賞 】
「 伝統 」と「 新しさ 」
福岡県醤油醸造協同組合工場は県内醤油メーカーの醤油原液(生揚)のほとんどを生産し、各工場に配送する。各工場はそれぞれの好みにあった味に調整し、出荷している。福岡県醤油会館は、醸造組合40周年事業として工場に隣接する敷地に計画された。
この建物は、長い歴史によって培われた「伝統」を受け継ぎ、未来に向けた「新しい」まなざしを育てる場であると考える。その理念を木構造として表現した。すなわち伝統的な木の優しい素材感と、集成材と鉄筋を用いたラーメン工法による合理的な新しさである。外観は、交差する2つのボリューム(「蔵」と「縁」を象徴する)と建物を貫く板塀でこの事を表現した。
木構造を直截に表す均等な架構は、明るく伸びやかな空間を獲得し、シンプルな構成でありながらも、力強く豊かな表情を持つ。また少ない部材種、単純な工法によりローコスト、短工期を図った。
各部屋は断片的にならないよう、ラウンジを中心に建物が一体に繋がる計画とし、様々なかたちでテラスや庭に面し、光や風、水といった自然を採り入れる。
敷地の周囲を1mほど盛り上げ植栽を施し、道路に沿った土手のようなイメージの景観としている。敷地の高低差を調整すると同時に道路との緩衝ゾーンとなっており、交通量の多い道路に対し、建物内部からは敷地がやや窪んだな印象となり、落ち着いた執務環境を作っている。
外気導入に地中熱利用換気システムを用いる等、環境に対しての負荷の軽減を図った。
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