《2020年6月》 木造平屋建 / 敷地:25,783.37 ㎡ 延床:72.00 ㎡
施工 有限会社 筑羽工務店
写真 Blitz studio
【 第16回 建築九州賞 佳作作品 】
徳栄寺は妙見山と号し、福岡市早良区の西油山中腹に位置する日蓮宗の寺であり、広大な境内を有する。本堂よりやや下がった斜面の深い木立の中、お籠堂(龍神さまを祀ったお堂・庫裡)、水行のためのお瀧場、石碑、石組等が散在している。
明治年間に建てられ、経年により傷んだお籠堂の庫裡を建て替えることによって、この地を檀家や一般の人にとって、信仰の対象であると同時に、心休まる場へとよみがえらせることが求められた。
設計は内外に亘り、宗教施設としての威厳と、優しさ・親しみを持った空間であるよう注力した。訪れる人が、どこにいても様々に自然や遥かな時間とつながることにより、この地の霊気を感じ、それぞれの思いをはせることができればと考えた。
木々の一部を伐採し、枝を払い、光を差し入れることにより、緑を生かし、視線の緩やかな抜けを図った。
外観は伝統的な二重垂木による深い軒に緩勾配の屋根が載る。高さを極力抑えたシンプルな構成として、移り行く光と木々の間に凛として佇む。
「水礼の間」は、ゆったりとした軒下空間を介して、お堂・山側の景色と柔らかく繋がる。軒下から土間へ直接出入りでき、多様な用い方が想定されている。
「迎茶の間」は、板の間に腰掛られる高さの出窓を設えた。立礼卓を置き、軸を掛け、お茶を振舞うことが出来る心地良い場となっている。
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