《1992年3月》 RC造2階建 / 敷地面積:1230.00㎡ 延床面積: 733.01㎡
施工 株式会社 高木工務店
写真 岡本 公二
幼稚園は子供にとって情操を育てる豊かな空間が設えられなければならない。変形の敷地にこぢんまりとまとまらず、敷地をめいっぱい使った伸びやかな空間となるよう心がけた。まず東と西の端に2つの塔を建てる。
東の塔は街を「見張る塔」(街は未来の象徴)、西の塔は「森へのブリッジ」(森は記憶の象徴)と名付ける。それを列柱をもった廊下で繋ぎ、園児達は様々な空間に出会いながら、東の端から西の端へとぐるぐると走り回ることができる。中央に遊戯室があり、1,2階の廊下が入れ違う。この廊下は「時空の回廊」、遊戯室はその交差点という訳だ。
外壁の素材は、土をべたべたと捏ねて造ったようなものでありたいと考えた。建材屋さんと思考錯誤の末、安価なスタッコ調の材料、及び施工方法を開発し、ここの山の土の色をベースに4色で構成した。
やがて卒園していった園児達がいくばくかの感慨をもって自らの幼児期を思いだす時、その記憶のシーンの背後にこの建物のいずれかの空間が現れれば幸いなことだと思っている。
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